研究課題
基盤研究(C)
本研究はC型肝炎ウイルス(HCV)蛋白質による肝細胞の蛋白質チロシンリン酸化反応、特に非受容体型チロシンキナーゼSykと細胞機能への影響について解析したものである。平成18年度は、HCVの非構造(non-structural: NS)蛋白質の一つであるNS5Aが、培養肝細胞に おいてSykに会合することを明らかにし、Sykの肝細胞内での標的分子としてホスホリパーゼC-γを同定した。並行して、HCV蛋白質NS3、NS4Aによる病原性発現機構の解析や、新規SSPE株の同定、ウイルス関連ユビキチンリガーゼの解析などを行い、その研究成果を発表した。平成19年度はよりin vivoに近いHCVの感染実験系(HCV J6/JFH-1株)を用いてNS5AとSykの会合を明らかにし、両者の会合によるSykのキナーゼ活性抑制の分子メカニズムを明らかにした。更に病理組織学的解析を行い、通常の肝臓組織においてSykは細胞質にびまん性に発現し、HCV感染細胞では細胞膜付近に斑状に局在し、発現部位が異なることを見出した。Sykは乳がんにおいて癌抑制遺伝子と位置付けられているが、本研究の成果は、HCVのNS5AによるSykの阻害効果が、HCVによる発癌のメカニズムの一つであることを示唆するものである。並行して、HCVの合併症である糖尿病発症機構についての解析や(投稿中)、HCV感染による肝細胞のプロテオーム解析を行った(継続中)。また、新規アダプター蛋白質とヒト遺伝疾患ケルビズム症との関連について予備的な解析を行い、総説を発表した。平成18年10月に研究代表者の定が神戸大学大学院医学系研究科より福井大学へ教授として転任した。以降、研究室の立ち上げのために実験の遂行にやや遅れが生じたが、当初の目的はほぼ達成することが出来た。
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