研究課題
基盤研究(C)
本研究では、動脈硬化好発モデル(Apoe^<+/->、Ldlr^<+/->)マウスにHelicobacter pylori (H.pylori)の経口感染による動脈硬化の惹起、およびH.pylori由来の熱ショックタンパク質(Hp-HSP60)免疫による動脈硬化の惹起抑制の詳細な機序を解明した。実際には、(1)胸部大動脈の狭窄率を算出した他、マクロファージの泡沫化、血管平滑筋細胞の活性化、スカベンジャー受容体の発現、β2-グリコプロテインI(β2GPI)の浸潤、細胞接着分子や各種サイトカインの産生を確認した。(2)血中脂質代謝マーカーの他に、血中および脾臓細胞培養上清中の新規動脈硬化マーカー(酸化LDL/β2GPI複合体)や免疫応答の指標となる抗Hp-HSP60抗体および各種Th1、Th2サイトカインを測定した。更に、(3)脾臓リンパ球の表面マーカーのフローサイトメトリーによる解析を行った。次に、H.pylori陽性の高血圧症患者を対象とした臨床試験で、感染(特にH.pylori)およびHp-HSP60に対する液性免疫応答が動脈硬化の進展にどの様に関与しているかを病態生化学的、免疫学的、臨床免疫学的に解析した。また、H.pyloriの除菌により動脈硬化の進展が抑制されるか否かについても究明した。その結果、モデルマウスを用いる研究では、H.pyloriの経口感染によって、Hp-HSP60に特異的なTh1応答が誘導され、その結果、動脈硬化が有意に進展することが実証された。また、その細胞性免疫関与の動脈硬化の進展が、アジュバントを用いるHp-HSP60の免疫によって有意に抑制されることを認めた。我々の発見した新規マーカー(酸化LDL/β2GPI複合体)のレベルもまた、動脈硬化の進展・退行に対応して推移した。このように、慢性感染に対する免疫応答が動脈硬化を惹起すること、またワクチンによってその進展を抑制することが示唆された。ヒト試験のための倫理委員会の承認を受け臨床試験体制を構築し、また、抗Hp-HSP60抗体価と冠動脈疾患の発症との関係を見いだすと共に、Hp-HSP-60に反応性のT細胞株を患者よりクローニングした。
すべて 2008 2007 2006 その他
すべて 雑誌論文 (41件) (うち査読あり 17件) 学会発表 (15件) 図書 (3件)
Autoimmun Rev 7
ページ: 214-222
Clin Exp Rheum 26
Lupus (印刷中)
J Lipid Res 48
ページ: 768-781
J Autoimmun 29
ページ: 106-115
ページ: 164-173
Ann NY Acad Sci 1108
ページ: 489-496
ページ: 594-602
Lupus 16
ページ: 929-9238
Blood 110
ページ: 4312-4318
Autoantibody (2nd Edition)
ページ: 687-693
Lupus 15
ページ: 478-483
I Lipid Res 48
ページ: 929-938
Blood 11
Journal of Lipif Research (In press)
Annals of New York Academy of Sciences (In press)
Prog Lipid Res 45
ページ: 466-486
Clinical reviews in Allergy and Immunology 29・3
ページ: 311-319
progress in Lipid Research 45・6
Rheumatic Disease Clinics of North America 32・3
ページ: 537-551
Lupus 15・2
ページ: 80-86
Clinical and Developmental Immunology 13・1
ページ: 1-9
Lupus 15・7
ページ: 2008-2008
ページ: 74-80
Lupus (in press)