研究概要 |
ヒト固形癌において癌遺伝子蛋白質(EGFR,myc等)、転移促進因子(AMF[autocrine motility factor])の異常を解析した。 1.EGFR:食道癌や骨軟部腫瘍でも過剰発現、遺伝子増幅が認められ、EGFR阻害剤の適応となりうる事を示した(Int.J.Cancer,2006,Human Pathol.2007)。 2.EGFRの点突然変異は肺腺癌の29%に認められ、Aktを介する経路が,遺伝子増幅例ではStat-3経路が活性化され、Akt,Stat-3の分子標的療法の可能性も示した(Mod.Pathol.2006)。骨腫瘍では点突然変異は12.9%に認められたが、部位も下流因子の活性化も肺癌とは異なっていた(Human Pathol.2007)。食道癌ではEGFRの点突然変異は無かった(Int.J.Cancer,2006)。 3.Topoisomerase IIα遺伝子は胃癌の3%で増幅を認め、多くはHER-2の同時増幅を伴った。c-myは16%で過剰発現、3%で遺伝子増幅を、更にEGFR/c-myc,HER-2/c-mycの同時増幅を5%前後に認め、遺伝子同時増幅の特異性を示した(Human Pathol.2006,Mod.Pathol.2007)。 4.AMFは肺癌の67%で発現を認めた。またAMFがproteasome系で分解される事、扁平上皮癌の分化誘導因子としても機能し、細胞外分泌能が高い群でリンパ節転移が高い事を報告した(J.Pathol.2006) 5.骨肉腫の検索で術前化学療法後に、AMF過剰発現症例では術後に転移を認め、またAMFの発現レベルがFDG-PETの集積度(SUV[standardized uptake value])と相関した(Clin.Exp.Meta.2007)。
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