研究課題
基盤研究(C)
EBV LMP1に対するTヘルパー応答の解析:鼻性NK/T細胞リンパ腫は、顔面正中部に生じる予後不良な悪性リンパ腫で、近年化学療法の進歩により予後が改善されてきたが、それに抵抗する例に対しては、免疫療法などの新たな治療法の確立が求められている。本疾患の発症にはEBウイルスのLMP1蛋白が、NK/T細胞の腫瘍化に関与していることが知られている。本研究では、EBV LMP1に対する特異的ヘルパーT細胞をヒト末梢血から樹立し、その詳細なエピトープを明らかにした。エピトープペプチドLMP1_<159-175>はHLA-DR9, DR15, DR53分子拘束性にヘルパーT細胞を活性化し、このペプチド特異的T細胞はLMP1陽性のNK/T細胞リンパ腫細胞株を認識し、IFN_<-γ>を産生し、かつそれらを傷害した。このpromiscuousなエピトープペプチドは、既知のHLA-A2 CTLエピトープと重複しており、このリンパ腫に対する癌ワクチンの候補となりうるものと期待された。EBVリンパ芽球細胞にも発現する前立腺癌抗原STEAPに対するTヘルパー応答の解析:STEAPは当初前立腺癌特異抗原として見いだされたが、我々は、この抗原がメラノーマやEBV-LCLにも発現していることをウエスタンブロット法で明らかにした。STEAPに対するTヘルパー反応を解析するために、promiscuousにHLAクラス2分子に結合可能な候補ペプチドを合成し、STEAP特異的ヘルパーT細胞を樹立した。エピトープペプチドSTEAP_<102-116>とSTEAP_<192-206>はpromiscuousにT細胞を活性化し、この特異的T細胞は、STEAP陽性の腫瘍細胞を認識しTH1優位のサイトカインを放出した。現在STEAPは各種固形癌に幅広く発現していることが知られている。したがって、このエピトープペプチドは、多くの癌のワクチン療法に今後応用されることが期待される。
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