研究課題
基盤研究(C)
私たちはまず、ARPPとFABPの筋線維内局在を免疫組織化学染色により解析した。その結果、ARPPとFABPは筋線維内においてI bandに共局在していることを発見した。このことから、ARPPが筋線維内において脂肪酸の取り込みに関与する可能性が示唆された。この仮説を検証するため、ARPPをCHO細胞に過剰発現したところ、パルミチン酸の細胞内取り込み能が低下することがわかった。さらにARPPをcyan fluorescent protein(CFP)との融合蛋白質(CFP-ARPP)として、またH-FABPをyellow fluorescent protein(YFP)との融合蛋白質(YFP-FABP)としてCHO細胞にco-transfectionにより共発現させレーザー共焦点顕微鏡で観察したところ、fluorescence resonance energy transfer(FRET)が確認された。一方、CFPとYFPのみを共発現させただけではFRETは確認されなかった。このことから、ARPPとH-FABPは物理的に直接結合していることが示唆された。このように、今回の研究よりARPPが筋線維においてFABPによる脂肪酸代謝に関与するモデルを提唱することが出来た。このモデルを証明するためにさらなる研究が必要である。我々はまた、傷害筋におけるARPPの役割を調べるため、ヘビ毒(Cardiotoxin)により、マウス腓腹筋に筋傷害を誘導し、ARPPの筋線維内局在を解析した。その結果、ARPPは定常状態の筋では主に細胞質に局在するが、傷害後、核に強く蓄積されることを発見した。面白いことに、ARPPは壊死した筋線維では発現低下していたが、傷害を受けてサルコメア構造が崩壊した筋線維において核へ局在する傾向が観察された。核内においては転写が盛んに行われているユークロマチン領域に局在していた。この結果より、ARPPは傷害を受けてサルコメア構造が崩壊した筋線維において、転写調節因子として機能することが示唆された。
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