研究課題/領域番号 |
18590400
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
寄生虫学(含衛生動物学)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
久枝 一 九州大学, 医学研究院, 准教授 (50243689)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
4,080千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 480千円)
2007年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2006年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | マラリア / 免疫回避 / 制御性T細胞 / 樹状細胞 / TLR9 / トリプトファン代謝 / IDO |
研究概要 |
マラリアは今もなお人類に脅威を与え続けている感染症である。有効なワクチンが得られない理由としては流行地で何度でもマラリアかかるように免疫系が機能していない、言い換えればマラリア原虫が妙に免疫を回避していることが挙げられる。したがって原虫の免疫回避を理解することはマラリアのコントロールに重要である。研究代表者らはマラリア原虫が、制御性T細胞を活性化することで免疫応答を抑制し免疫回避していることを明らかにしてきた。今年度はマラリア原虫の制御性T細胞活性化メカニズムに関して検討を加え、以下の結果を得た。 マウスにマラリア原虫を感染させると、制御性T細胞は増加し、その機能であるT細胞増殖を抑制する能力は増強する。制御性T細胞の機能の増強を活性化の指標として試験管内での実験でマラリア原虫による制御性T細胞活性化のメカニズムに必要な条件を検討した。活性化には制御性T細胞を樹状細胞とマラリア原虫感染赤血球を培養することが必要であった。制御性T細胞と感染赤血球だけでは活性化が見られないことから樹状細胞と感染赤血球の相互作用が必須であった。さらに樹状細胞は感染赤血球を取り込んだ後に抗原非特異的に制御性T細胞を活性化することも分かった。これらの結果より、感染赤血球が樹状細胞へ何らかのシグナルを伝えていることが想定された。そこで自然免疫レセプターであるToll-like receptor(TLR)の関与を検討した所、樹状細胞に発現するTLR9とそのアダプター分子であるMyD88依存的に制御性T細胞の活性化が起こることが示された。また、驚くべきことにTLR9を欠損するマウスでは野生型マウスで認められるマラリア原虫感染時の制御性T細胞の活性化が起こらず、その結果として致死性のマラリアに対して部分的な抵抗性を獲得した。以上の結果は制御性T細胞を介するマラリア原虫の免疫回避にTLR9が必須であることを示しており、免疫回避メカニズムに新たな知見を提供するものである。
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