研究課題
基盤研究(C)
本研究では、回虫の新規NADH-メトヘモグロビン(Hb)還元系の構成成分であるシトクロムb_5(Cyt.b_5)について、宿主哺乳動物あるいは自活性線虫C.elegansのCyt.b_5と遺伝子および結晶構造レベルで比較することによって、1)本分子が寄生適応の過程で獲得した構造上の特質を明らかにすること、2)回虫Cyt.b_5前駆体蛋白をC.elegansで発現させることにより、その生合成様式、とくにプレシークエンス(PS)の役割を解明することを目的としている。1)回虫Cyt.b_5のX-線結晶構造解析については、1.8〓の解像度で構造を決定、好気的宿主哺乳類の可溶性Cyt.b_5(赤血球型)の構造と異なっていることを明らかにした。回虫Hbと本蛋白のドッキングモデル解析結果は、回虫Hbが生理的反応パートナーであること、また、免疫組織染色およびプロッテングの結果は、本蛋白は角皮下層と体腔液に分布する分泌蛋白であることを強く示唆した。本蛋白は宿主腸腔の低酸素環境に適応する過程で特化した分子種であるという作業仮説を立て、これを検証するために、すでにゲノムプロジェクトが終了した自活性線虫C.elegansのCyt.b_5について比較解析した。Databaseから4つの分子種が得られたが、いずれもPSの付加はみられなかった。ハイドロパシー解析によりそのうち2種は可溶性蛋白と推定され、その1種が回虫Cyt.b_5と最も高いホモロジーを示したが、両者ともExpressed sequence tagとして検出されていない。2)は、トランスフェクション効率が悪く、現在、条件検討中である。3)Biacoreをもちいて、回虫とヒトのCyt.b_5をリガンドにしてそれぞれ体腔液Hbをeluteしたところ、前者と比較して後者のリガンドは、体腔液Hbに対して低い親和性を示した。これらの知見は上述の仮説を支持するものである
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