研究課題/領域番号 |
18590408
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
寄生虫学(含衛生動物学)
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
高桑 雄一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40113740)
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研究分担者 |
萬野 純恵 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (10101205)
布村 渉 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (70256478)
越野 一朗 東京女子医科大学, 医学部, 助教 (80328377)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
4,010千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 510千円)
2007年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2006年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | マラリア / 赤血球 / 膜脂質 / ラフト / 非対称分布 / 膜機能 / 感染 |
研究概要 |
本研究は、マラリア原虫が赤血球に侵入する際の必要・十分条件について、赤血球膜の脂質ダイナミズムの観点から検証した。具体的には、1)膜脂質量を変化させずにラフト構造の有無を調節した赤血球(リドカイン(Lidocaine)処理およびリドカイン除去赤血球)、2)コレステロール量を減少させた赤血球(MBCD(methyl-β-cyclo dextrin)処理赤血球)、3)スフィンゴミエリン(Sphingomyelin)量を減少させた赤血球(スフィンゴミエリナーゼ(SMase)処理赤血球)を調製し、ラフト構造の有無、情報伝達系の機能を確認した上でマラリア原虫の侵入に対するラフトの効果を検討した。 その結果、リドカイン効果は可逆的に、MBCDおよびスフィンゴミエリナーゼ処理によりラフト構造は不可逆的に調節された。リドカイン処理と除去によりラフト画分の有無を調節した赤血球を用いて、マラリア感染・増殖率を検討したところ、リドカイン処理(ラフト画分の消失)により感染・増殖率は低下し、リドカイン除去(ラフト画分の再構築)により感染・増殖率は回復した。さらに、分化段階を分裂体に同期した原虫を用いて赤血球への侵入効果を検討したところ、侵入は2mM以上のリドカイン処理でほぼ完全に阻止された。以上の結果から、マラリア原虫は赤血球に侵入する際に水平方向の脂質ダイナミズム(ラフト)に集積する情報伝達系を利用することが明らかになった。 マラリア原虫は何らかの刺激によりGsαを介して膜骨格蛋白質をリン酸化し、水平方向の脂質ダイナミズムを利用して膜の内方陥没(原虫の侵入)を容易にすると考えられる。リドカインはすでに局所および全身麻酔に用いられている可逆的麻酔薬であり、本研究で新たに見出されたラフトに依存するGsαを介する情報伝達の可逆的作用がマラリア原虫の赤血球への侵入を阻止する可能性が期待される。
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