研究概要 |
18年にS/TxxxxxxS/TxxxS/T motifとの結合を予測しhumanTelomeraseとの結合をhuman 14-3-3tauとT.brucei(トリパノソーマ原虫)14-3-3IおよびIIで検討したが、どちらも優位な結合は認められなかった。さらにFatty acid elongaseおよびPP2Aのregulatory subunitなどとの結合をほ乳類293T細胞およびトリパノソーマ原虫に、HAtagおよびV5Tagを付加して発現させたをimmunoprecipitation法あるいはGST-pulldown法にて検討するも強い結合は認めなかった。 19年度、私は大腸菌にて14-3-3のheterodimerの発現精製に成功した。そのheterodimerをトリパノソーマ原虫から抽出したタンパクおよび293T細胞より抽出したタンパクを用いたFar-Western blotに用いると、phosphatase inhibitorであるcalculinA処理後でT.brucei 14-3-3結合タンパクの量およびレパートワーの増加を認めた。このことは、私が予測していた「トリパノソーマ原虫の14-3-3タンパクがリン酸化非依存性に働く」という命題を否定するものとなった。すなわち今まで主にhomodilmerとして働いていると考えられてきた14-3-3タンパクがトリパノソーマ原虫の場合、おもにheterodimerとしてリン酸化タンパクに結合して働いていることが考えられる。この現象は、ほ乳類、酵母、植物を通して初めての発見である。この新規heterodimer14-3-3タンパクを用いリン酸化ペプチドとの結合をドットブロット法にて検討すると、驚いたこと既存のmode1, mode2, mode3のペプチドと結合しないことが判明した。さらにトリパノソーマphosphatase PP2Cをほ乳類293T細胞にV5Tagを付加し発現させた細胞をもちい,その細胞抽出液を抗V5Tag抗体にてimmunoprecipitationしたものをさらにFar-westernblot法にて検出すると、heterodimerトリパノソーマ14-3-3タンパクとの結合を認めた。現在、詳細なモチーフについて検討中である。現時点でのdataはトリパノソーマ原虫特有の14-3-3タンパク結合能のあるリン酸化ペプチドが創薬の基盤になることを示唆する。
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