研究課題
基盤研究(C)
本研究では細胞内侵入性の病原細菌に対するオートファジー認識様式に関する解析に焦点を絞り、(1)赤痢菌感染のオートファジーにおける宿主の認識分子であるAtg5と相互作用する宿主タンパク質の探索を行い、赤痢菌およびその他の病原菌によるオートファジーにおけるその役割を解明し、(2)赤痢菌と同様に細胞侵入後に細胞質へと離脱するリステリア属菌によるオートファジー回避機構の解析をおこなった。まず、yeast two-hybrid法によりAtg5結合タンパク質として機能未知のタンパク質Afpを得た。そこで、赤痢菌およびA群連鎖球菌により誘導されるオートファゴソームへのAfpの局在を培養細胞を用いて調べた結果、これらの病原細菌を取り囲むオートファゴソームにAfpタンパク質が局在することが明らかになった。さらに、ラパマイシンにより誘導されるオートファジーがRNAiオリゴによるAfpのノックダウンにより抑制された。次にAfpにおけるAtg5結合領域の解析をおこなった結果、Atg5結合性を消失したAfp1アミノ酸置換変異体を作出することに成功した。次にリステリア属菌に対するオートファジー解析を行った結果、細胞内での運動性に必須のActAタンパク質がリステリア属菌のオートファジー回避に必須であることを見出した。さらにリステリア属菌に対するオートファジーは赤痢菌やGASとは異なり、宿主は菌体をアグリソームとして認識しているという知見を得た。以上の結果から、赤痢菌とGASと感染モデルにおいてAfpが共通のオートファジー因子として機能していること、Afpは病原菌に対するオートファジーのみならず細胞全体のオートファジーに関与していることが明らかになった。さらに、リステリア属菌を用いた実験から、ファゴソームから細胞質へ逃避する病原菌はオートファジー回避という共通の感染戦略を有していることが推察された。
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