研究課題
基盤研究(C)
分化に伴う遺伝子発現の変化を、クロマチン構造の変化の観点から理解しようと言う科学的態度は、昨今の大きなトレンドである。このテーマにおいて胸腺CD4/8両陽性(CD4/8 double positive、DP)細胞からCD4TおよびCD8T細胞への分化過程はきわめて有用な実験系を提供する。転写因子Runx3が重要な機能を担うことを2005年に研究代表者が報告したことをふまえ、本研究ではRunx3がどのようにしてクロマチン構造の制御を行い、CD8キラーT細胞への細胞系列決定を行うのか、その分子的機序について明らかにしていきたい。本研究は、Runx3がCD4/8遺伝子制御を行う分子基盤を解明することを最終的な目標ととらえ、その具体的な切り口の1つとして、クロマチン・リモデラーであるBAF複合体に着目した。機能解析実験から、BAF複合体はCD4/8発現制御において確かにRunx3と同様の活性を示し、両者が協調してはたらく可能性を示唆した。しかしながら、現在のところ両者が直接会合することを示すデータは得られておらず、その分子機序については今後の課題として残された。第2の切り口として、胸腺細胞分化においてDNA複製制御が重要な役割を果たす可能性を発見した。すなわち、DNA複製の阻害がCD8T細胞への分化に抑制的にはたらく一方、DNA複製の亢進がCD4T細胞への分化に抑制的にはたらくという特徴を示すのである。DNA複製はクロマチン構造の大きな変換を伴うことから、細胞系列決定への寄与は注目すべき現象と思われる。その詳細と意義については今後の大きなテーマとして継続的に追求したいと考える。
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