研究概要 |
外科手術で得られる肝癌患者肝臓組織で薬物代謝酵素の遺伝子多型を網羅的に解析して遺伝子多型と代謝能の関係を当該患者個人で明らかにして、抗癌薬代謝に関連する酵素の代謝能を予想し抗癌薬のテーラーメイド治療を行うことを目的とした。肝切除が必要な患者において摘出された肝組織のうち病理検査に用いない非癌部組織を用いた。遺伝子多型はCYP1A2^*F,CYP2C8^*2,^*3,CYP2C19^*2,^*3,CYP2D6^*3,^*4,^*5,^*10,CYP3A4^*4,^*17,^*18,Dihydropyrimidine dehydrogenase(DPD)^*5,^*6,multidrug resistans-1(MDR-1)A-41G,T-129C,C1236T,G2677T,G2677A,C3435T,A4036Gについて解析した。CYPの遺伝子多型ではCYP1A2^*1F、CYP2C19^*2、^*3、CYP2D6^*4、^*5、^*6、^*10、CYP3A4^*4、^*16がそれぞれ同定された。MDR1では-41A/G、-129T/C、1236T/C、2677G/A,T、3435C/T、4036A/Gがそれぞれ同定された。さらに肝細胞癌、胆道系腫瘍、転移性直腸・大腸癌、その他の転移性腫瘍、良性腫瘍と原疾患別に分類すると遺伝子多型の頻度に差のあることが明らかとなった。この結果、将来肝癌治療のために手術を受けた患者が術後薬物治療を受ける際、その患者の薬物動態、薬効を予測する上で貴重なデーターとなることが示唆された。
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