研究概要 |
[目的]フィールド予防医学の新しい展開として、遺伝的負荷の大きい生活習慣病の感受性遺伝子を同定し、発症前予防を行うため、本研究は、後期高齢者の増加が著しいわが国における失明予防のための緑内障の感受性遺伝子同定を目的とする。[方法]本研究は京都大学医の倫理委員会の承認を得て実施した。研究は連結可能匿名化にて行った。本年度の対象者は、書面による同意を得た緑内障患者10名と対照者20名の計30名であり、岐阜県T市の半径10km以内に在住し、先祖代々当地域での在住が確認された方々である。同祖性の検出に基づく相関研究として高密度ジェノタイピングを用いることとし、GeneChip 50K(SNPマーカー数58,960)Human Mapping arrays(Affymetrix, USA)を使用した。GeneChipデータは、GDAS(GeneChip DNA Analysis Software)を用いて行い、call rateが80%以上あることを確認した。相関解析はGene Spring GT2 software(Agilent Technology, USA)を用いて_x2検定を行い、有意水準p<0.05となるSNP、ハプロタイプを検索した。[現在の結果]患者群、対照者群ともに性比、平均年齢に差は無かった。SNPコールは、平均して97.4%であった。有意水準を満たすシングルSNPマーカー数は2,562、ハプロタイプ数は2,368であった。シングルSNPマーカーでは、12番染色体のrs10506023が最小のp-value 1.58×10^<-5>であり、ハプロタイプ解析における最小のp-value(3.07×10^<-4>)は、X染色体のrs6527668〜rs2189270であったが、ともにBonferroni補正を行うと有意水準を満たさなかった。[今後の方針]疾患例30人、対照者30人まで増加し、相関解析で候補領域を探索しその中にある候補遺伝子の配列決定をおこなっていく予定である。
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