研究課題
基盤研究(C)
我々は岩手県北部地域在住の全ての成人血液透析患者を対象とした悉皆性コホート研究を平成15年度から開始し、2003年6月から2004年3月までに登録調査を終えた。参加同意者の内1,214名(全体の81%)で血液検査を含めた登録調査を実施した。25透析施設を直接訪問して、1214名の透析患者診療記録を1年ごとに閲覧した。平成19年度には3年間の追跡調査結果を終了した。現時点で判明した死亡者数は281名で、累積死亡率は23.1%であった。死因の内訳は感染症死亡58名(20.6%)、心不全死亡35名(12.5%)、突然死が31名(11.0%)、脳内出血死亡が27名(9.6%)、冠動脈疾患死亡が19名(6.8%)、がん死亡が19名(6.8%)、肝不全(肝細胞がんをのぞく)が9名(3.2%)、大血管疾患死亡(大動脈瘤破裂と急性大動脈解離)が8名(2.8%)、くも膜下出血死亡2名(0.7%)、その他の心臓疾患死亡が1名、上記以外61名(21.7%)であった。男女合わせると心血管疾患死亡が死因全体の3割を占めた。次いで多いのが死因の21%を占める感染症による死亡であった。転院先での詳細な追跡調査が終了していないものが69名存在しており、2年間の追跡調査データを電子化して生存分析による解析はll45名を対象に検討した。総観察人年は2215人年であった。死亡率は85/1000人年で、死亡率に性差はなく、原疾患別で比較すると糖尿病性腎症患者の死亡率が高かった(p<0.01)。死亡に影響していたリスク要因としては、年齢、低アルブミン血症、高CRP値、糖尿病合併、C型肝炎抗体陽性があげられた。本解析データは日本循環器病予防学会に公表した。現在の日本では地域ベースの透析患者データは存在しておらず、本研究成果は現在の日本人透析患者の実態を知る上で資料的価値が高いと考えられる。
すべて 2009 2007 2006 2005 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (30件)
日本循環器病予防学会誌 第42巻第2号
ページ: 86-96
10029554298
Japanese Journal of Cardiovascular Disease Prevention 42
ページ: 92-102
日本腎泌尿器疾患予防医学研究会誌 14巻1号
ページ: 106-107
J Epidemiol 15(3)
ページ: 96-105
10015648862