研究課題/領域番号 |
18590573
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
佐野 有理 (2007) 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (20338023)
中島 宏 (2006) 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80217710)
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研究分担者 |
大前 和幸 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60118924)
吉岡 範幸 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (70365229)
衛藤 憲人 東海大学, 開発工学部, 講師 (60365228)
佐野 有理 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20338023)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,830千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 330千円)
2007年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2006年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | トリクロロエチレン / 種差 / DNAチップ / トランスクリプトーム / 初代培養肝細胞 |
研究概要 |
平成18年度にはヒトのトククロロエチレン(以下、TCE)暴露後のトランスクリプトームを得た。解析上の要求が満たされたことになり、以前に得ているヒト、マウス、ラットのトランスクリプトームと併せ、3種の比較検討を行った。4個体のうち、少なくとも3以上でP or Mとなったプローブについて、ベイズの定理により、有意(p<0.01)に変化したプローブを抽出した。Web上に公開されている解析ソフト、MAPPFinderやGSEA(Gene Set Enrichment Analysis)で解析を行った。「MAPPFinderによる機能別解析」では、マウスの5mM、24時間にのみβ酸化関連遺伝子の発現の亢進がみられた。また,「GSEAによるトランスクリプトーム間の類似性の検討」では、TCE曝露に際し、ヒトで発現の低下する遺伝子には、ラットに類似性があるという結果となった。ヒトにおけるTCEの代謝産物はトリクロロ酢酸やトリクロロエタノールであり、代謝産物の視点からはヒトはマウスに近いといわれている。ペルオキシゾーム増殖という視点からは、トリクロロ酢酸やジクロロ酢酸の産生が重要と思われるが、β酸化の亢進はその下流にあると考えられる。β酸化が発がんの始まりであるとすると、ヒトにおけるTCEの代謝産物がトリクロロ酢酸であっても、「MAPPFinderによる機能別解析」の結果は興味深い。ペルオキシゾーム増殖薬への感受性は、げっ歯類はヒトより高く、マウスとラットではマウスの感受性が高いと言われている。マウスにのみβ酸化関連遺伝子の発現の亢進がみられたのは、TCEではマウスでは肝がんがみられ、ラットではみられない知見とも矛盾しない。一回の実験で多数のpathwayについての検討が可能なマイクロアレイは、実験動物における健康影響発生のメカニズムの解明と相挨って、ヒトへの危害を考える上で有用なツールと考えられた。
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