研究課題
基盤研究(C)
CETP(Cholesteryl ester transfer protein)が動脈硬化促進的なのか防御的なのか不明である。日米の地域住民の血清CETP値を比較し冠動脈石灰化との関連を検討した。滋賀県とPennsylvania州の地域住民から作為抽出された40歳代の日本人男性412人、米国白人男性318人の血清CETP値を日本においてELISA法で測定した。冠動脈石灰化(CAC)は日米ともGE-Imatron C150で計測され、米国でスコア化された。日本集団は米国集団に比し有意に低い血清CETP値、有意に高いHDL-Cを示した。血清CETPを4分位で分けると、日本集団では血清CETP値が高いほどCAC(Agatston Score>10)の保有率が高くなる傾向を示した。一方、米国集団は日本集団に比しCACの保有率が高く、また血清CETPと一定の関連を示さなかった。ロジステイック回帰で他の危険因子を調整すると、CETP 1mg/L上昇に伴うCACのオッズ比は、日本集団では3.93(95% 信頼区間1.44-10.7)、米国集団では0.67(0.32-1.38)であった。日本人集団では、CETPとCACの関連は喫煙群、飲酒群でより明確であった。交絡要因としてグレリンやLP-PLA2を調整してもこの関連は変わらなかった。血清CETP値とCACの関連は日本人と米国白人で異なっていた。日米の冠動脈疾患発症率の差にCETP濃度などのコレステロール逆転総系が関与している可能性が考えられたが、更に詳細な検討が必要である。
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