研究概要 |
平成14〜16年度にかけて岩手県北地域で基本健康診査を受診し、追跡研究への参加に同意した男女26,469名について、平均2.7年の追跡を行い、死亡、脳卒中および心筋梗塞の罹患状況を確認した。尿中アルブミン定量を行ってアルブミン指数を算出できた男女25,713名のうち、40〜74歳の男7,228名、女14,323名を対象とした。開始時調査時点で脳卒中の既往がある者、血糖、HbAlc高値、尿路症状がある者を除いた男6,443名(62.0±8.9歳)、女13,494名(60.4±8.9歳)を解析対象とした。解析対象中では男103例、女80例の死亡と男114例、女118例の脳卒中罹患が観察された。アルブミン指数の四分位で区分し比例ハザードモデルによりQ1を基準とする多変量調整相対危険度を求めると、女ではQ2-4の死亡は2.43(95%CI=1.04,5.69)、1.91(0.80,4.56)、2.09(0.85,5.10)、脳卒中は0.77(0.40,1.50)、1.09(0.58,2.03)、1.58(0.86,2.,87)であり、脳卒中で有意な直線性が認められた(p=0.521,p=0.037)。対数変換したアルブミン指数1上昇による多変量調っ整ハザード比(年齢、血圧および治療状況、BMI、喫煙と飲酒の状況、TCで調整)は女の死亡では1.04(0.82,1.31)と有意ではなからたが、女の脳卒中では1.24(1.06,1.47)と有意に高かった。また、アルブミン指数30-299mg/gCrの微量アルブミンあり群では微量アルブミンなし群を基準とした脳卒中の多変量調整ハザード比が1.60(1.08,2.38)と有意に高かった。健常中高年女性の尿中微量アルブミンは脳卒中罹患の独立した危険因子であり、アルブミン指数30mg/gCr以上について保健指導等を行うことが妥当と考えられた。
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