研究分担者 |
西村 公志 大阪府立公衆衛生研究所, 感染症部, 主任研究員 (80250299)
高橋 和郎 大阪府立公衆衛生研究所, 感染症部, 副所長兼感染症部長 (10171472)
加瀬 哲男 大阪府立公衆衛生研究所, 感染症部, 課長 (10175276)
川渕 貴子 大阪府立公衆衛生研究所, 感染症部, 研究員 (70435890)
奥野 良信 大阪府立公衆衛生研究所, 感染症部, 総括研究員 (30112064)
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研究概要 |
トリインフルエンザウイルス(AIV)の変異により新型インフルエンザの勃発が懸念されている。この新型インフルエンザの発生を想定した場合、臨床現場において、新型と通常のインフルエンザあるいは他の急性発熱疾患とを迅速に鑑別することが必要である。本研究では、AIVを特異的にかつ迅速に診断するイミュノクロマト法の開発を目的とした。AIV,A/Turkey/Ontario/7732/66(H5N9),を免疫源として、定法に従いNPを認識するモノクローナル抗体、4E3を得た。イミュノクロマト法により4E3抗体を固層およびラテックス結合抗体に用い、定法により診断キットを作製した。診断キットの感度はH5亜型ウイルスの検出限界のウイルス力価で評価した。キットの特異性は、AIV以外のインフルエンザウイルス(IV)、他の呼吸器ウイルス、細菌類を用いて評価した。感度について、作製したキットのH5N1亜型であるA/Crow/Kyoto/04(,京都府立医大、今西二郎教授より分与)、A/Indonesia/7/05,A/Whooperswan/Mongolia/6/05,A/Hanoi/30850/2005に対する検出限界はそれぞれ4x10^5,4x10^5,2x10^5,4x10^5FFU/mlであった。比較的高感度なヒト用市販キットを用いたこれらウイルスに対する検出限界は、それぞれ1x10^5,8x10^4,2x10^5,4x10^5FFU/mlであり、感度はほぼ同等か、株により約1/4低値であった。検出時間は10分で可能であった。特異性について、2004年タイでヒトから分離されたAIVH5N1(Z型、クレイド2)10株すべてと反応した。また、H5以外のAIV15株(H3〜H15)すべてに反応した。一方、ヒト由来IV(A、B型、鶏卵培養原液)19株、他の呼吸器ウイルス22株、細菌類24種すべて検出不可能であった。 現在、AIVによるヒト感染患者における鼻咽腔や咽頭でのウイルス量は必ずしも高くないと報告されている。しかし、一旦ヒト間での感染性が亢進した新型IVが出現すると、同部位では通常のヒトIVと同程度に増殖すると考えられる。上記の結果より、開発した迅速診断キットは迅速性、検出感度、特異性ともに検査に耐えうるものと考えられ、十分に臨床応用可能と期待される。
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