研究課題
基盤研究(C)
【研究の目的】本研究では、Helicobacter pylori(H. pylori)の外来性遺伝子群にコードされる病原因子CagAと、それらの輸送に関わるIV型分泌装置構成タンパク質CagYの役割に焦点を絞り、H. pylori野生株、cagYノックアウト変異株(ΔcagY株)、cagAノックアウト変異株(ΔcagA株)を用いて、H. pylori感染における胃粘膜上皮細胞の増殖因子の探究を目的とした。【研究実施計画】1.AGS細胞のH. pylori野生株・ΔcagY株・ΔcagA株感染による細胞形態変化の比較検討。2.H. pylori野生株・ΔcagY株・ΔcagA株の菌体内CagA免疫染色による分子量解析。3.蛍光タンパク発現ベクターによるCagYの細胞内発現と局在の検討。【研究成果】H. pylori野生株感染で著しく認められたAGS細胞の伸長形態変化は、ΔcagY感染では認められなかったのに対して、ΔcagA感染では、弱いながらも有意な形態変化が確認され、伸長形態変化誘導にCagYの関与が示唆された。また、菌体内CagA免疫染色にて、ΔcagY株におけるCagA分子量に差異があることを再現性持って確認した。これらのことから菌体内のCagA分子量はCagYタンパクに依存することが示唆され、CagYは病原因子CagAに働きかける重要な役割を持つタンパク質としての新しい知見となる成果が得られた。一方、CagYの細胞内発現と局在を検討するために蛍光タンパク発現ベクターへの導入を繰り返し試みたが発現には至らなかった。本検討からCagYは病原因子CagAとの相互関係を有する重要な因子である可能性が示唆された。
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