研究課題
基盤研究(C)
研究目的:胃癌はその組織構築から分化型癌と印環細胞癌を含む未分化型癌に分類されてきたが,組織分化の面からは胃の粘液形質を発現する胃型癌と小腸の形質を発現する腸型癌に分類される.前がん病変とされる腸上皮化生粘膜から発生すると考えられる初期胃癌はほとんどが腸型癌と予測されるが,実際にはほとんどが胃型胃癌である.胃癌細胞においてMUC5ACは胃型胃癌の粘液形質として知られている.MUC5AC陽性の胃癌はMUC5AC陰性の胃癌よりも予後が悪いことが報告されているが,その理由は解明されていない.胃癌における粘液発現の制御機構はホメオボックス遺伝子のような転写制御因子によると予想されている。しかし、MUC5ACの転写や発現の制御をになう機序はいまだ明らかではない.研究成果および考察:胃癌切除標本123病変の免疫組織学的検討ではATBF1陽性(核に局在)が26.8%,陰性が73.2%であった.胃型形質であるMUC5AC陽性が57.7%,陰性が42.3%であった.ATBF1が核に局在する胃癌細胞でのMUC5AC陽性率は有意に低かった(pく0.Ol).MUC5ACのプロモーター領域を検索するとATBFIの結合領域と考えられるAT-motif like elementが存在した.約4000 bpのMUC5ACプロモーター領域をレポーターとした dual-luciferase assayを施行したところ,AT-motif依存的にATBF1はMUC5ACのプロモーター活性を抑制した、胃癌細胞にATBF1を強制発現させると,MUC5ACの蛋白レベルでの発現の抑制が確認された.さらにATBF1のMUC5ACプロモーター領域のAT-motifへの結合が確認された.以上の結果から臨床病理学的にも分子生物学的にも,転写制御因子ATBF1が核に局在する胃癌細胞においては,ATBF1がMUC5ACのプロモーター領域のAT-motifに結合しMUC5ACの発現を転写レベルで抑制的に制御していることが明らかとなった.
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Clin.Cancer Res (in press)
Hepatogastroenterology (in press)
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