研究概要 |
末梢血単球由来のM型マクロファージ、GM型マクロファージ、樹状細胞の表面マーカーをflow cytometry法にて解析した。しかしながら、健常人、潰瘍性大腸炎患者、クローン病患者の3者間でDC-SIGN(CD209)をはじめ、CD14,CD33,CD80,CD86,CD83,HLA-DR,Mannose receptor(CD206)の発現につき、3者間で明らかな発現の差を検出するにいたらなかった。また、in vitroにて分化させたM型マクロファージ、GM型マクロファージ、樹状細胞をそれぞれLPSで刺激した際のTNF-a,IL-10,IL-12p40,IL-12 p70,IL-23をcytokine beads array法およびELISA法にて測定した。マクロファージに比べ樹状細胞ではIL-12 p40,p70,IL-23の産生が高値であったが、いずれの細胞においても健常人、クローン病、潰瘍性大腸炎の間で有意な差を認めなかった。また、DC-SIGNのリガンドである(1)mannan(100μg/ml),(2)zymosan(10μg/ml),(3)laminarin(500μg/ml)(4)mycobacteriumのlipoarabinmannan(ManLAM)で刺激を行った際のサイトカイン産生についても検討したが、3者間で明らかな差を検出するにはいたらなかった。また、各細胞をLPSで刺激した際のサイトカイン産生に対するDC-SIGNリガンドによる共刺激の影響についても検討したが、過去の報告に見られる、炎症性サイトカイン抑制効果は認められなかった。LPSならびにDC-SIGNリガンドの濃度設定の検討が必要と考えられた。
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