研究課題
基盤研究(C)
C型肝炎ウイルス(HCV)感染は高率に慢性化し、肝硬変や肝癌に進展することが知られているが、その進展には、免疫機序を介した炎症反応が重要な役割を果たしていることが明らかになっている。HCV感染における生体感染防御機構には、Toll-like receptor(TLR)を介した自然免疫が深く関与していることが近年明らかになっている。我々のこれまでの研究からは、TLR2 5'-UTRの遺伝子多型のC型肝炎進展への関与が示唆されているが、その分子機構をさらに解明するため、本研究ではこのTLR2遺伝子多型と宿主自然免疫系の機能変化、および多型とウイルス増殖の関係について検討した。TLR2シグナル伝達経路に存在する遺伝子群の遺伝子多型とC型慢性肝炎患者の病態について検討したところ、TLR2 5'-UTR deletionは血小板数と関連があることが明らかとなった。また、luciferase assayを用いて機能解析を行った結果、このdeletionは遺伝子発現に影響があることが示された。HCV in vitro複製系(HCV-FL-J6/JFH replicon system)を用いて、ウイルス感染Huh-7.5細胞にTLR2-siRNAを導入後、HCV増殖レベルを定量的に解析したところ、TLR2の発現とHCV複製能との間に差が認められなかった。また、TLR2-D型(ホモ)とW型(ホモ)の健常人から分離採取したmonocyteに、TLR2リガントあるいは上記複製系由来のHCV粒子を添加し、TLR2 mRNA発現量及びTNF-α、IL-8、IL-6発現量を測定した結果、HCV感染におけるTLR2の遺伝子多型が宿主自然免疫応答に影響を与えている可能性が示唆された。
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