研究課題/領域番号 |
18590733
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
|
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
石村 典久 島根大学, 医学部, 助教 (40346383)
|
研究分担者 |
石原 俊治 島根大学, 医学部, 講師 (80263531)
|
研究期間 (年度) |
2006 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
3,470千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 270千円)
2007年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2006年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
|
キーワード | 癌 / 胆道疾患 / アポトーシス / 癌浸潤能 / TRAIL |
研究概要 |
Tumor necrosis factor related apoptosis inducing ligand(TRAIL)は、TRAIL受容体(DR4、DR5)を介して腫瘍細胞特異的にアポトーシスを誘導する。胆管細胞癌を含む特定の癌では、TRAILに対するアポトーシス抵抗性を持つことが報告されているが、その機序に関しては未だ不明な点も多い。そこで、私共は今回の研究において胆管細胞癌におけるTRAILによる癌細胞浸潤能増強の機序の解明を目標とし、以下の成果を得た。 1.胆管細胞癌におけるTRAIL及び関連分子発現状況の解析:TRAIL蛋白の発現は、正常組織では認められず、胆管細胞癌において強い発現を認めた。また、レセプター(DR4、DR5)は正常組織部分との発現状況の差は認めなかった。アポトーシス制御因子の中でMcl-1は癌組織において強い発現を認めた胆管細胞培養株においても同様の傾向が認められた。 2.TRAIL遺伝子のプロモーター解析:正常組織、癌組織から得られたTRAIL遺伝子のプロモーター部分の解析を行ったが、IFN-γによるTRAIL誘導能の差に関連する遺伝子異常は指摘できなかった。 3.TRAIL遺伝子発現抑制による癌浸潤能の評価:TRAIL高発現胆管細胞癌株に各種阻害薬を投与し、migration assayおよびinvasion assayを行い、癌浸潤能の変化について検討を行った。Mcl-1阻害薬・NF-κB阻害薬を用いると、癌浸潤能はほぼ完全に抑制された。次に、TRAILsiRNA導入胆管癌細胞株を用いて、同様の検討を行った。TRAILsiRNA導入細胞株では有意に浸潤能、転移能の低下を認めた。したがって、TRAILが癌の浸潤・転移に深く関与していることが示された。 上記結果より、TRAILが癌浸潤能の増強に強く影響しており、Mcl-1およびNF-κBシグナルを介して作用していることが示された。これらのアポトーシス阻害因子の作用をブロックすることにより癌のTRAILに対する感受性が高まり、TRAILとの併用療法による新たな癌治療の礎となることが期待される。
|