研究課題
基盤研究(C)
消化器癌細胞におけるアポトーシス感受性規定分子を検索し、Bcl-2ファミリー蛋白であるmyeloid cell leukemia-1(Mcl-1)が抗癌剤抵抗性克服のための標的分子となりうるか否かを検討した。胃癌細胞株(6種)を用い、Mcl-1発現レベルとアポトーシス感受性の相関を検討した。Mcl-1 mRNA発現レベルはreal time PCR法により、Mcl-1蛋白発現レベルはwestern blot法により解析した。アポトーシス感受性感受性解析は、annexin V染色法、MTS assay、DAPI染色による蛍光顕微鏡観察を行った。アポトーシスの誘導は、抗癌剤(5-fluorouracil,cisplatin)、TNF-related apoptosis-inducing ligand(TRAIL)を用いた。胃癌細胞株において、Mcl-1発現レベルとアポトーシス感受性の間に相関がみられた。Mcl-1発現抑制を誘導するため、ヘアピン型siRNA(shRNA)発現adenovirus vectorを作成し、高い遺伝子抑制効率を確認した。抗Mcl-1 shRNAベクターにより、著しいアポトーシス感受性増強作用が確認された。さらに、胃癌細胞株MKN-45を用いて、cancer stem cell-enriched fractionであるside population(SP)分画を分離したところ、SP分画においてより高いMcl-1の発現を認めた。さらに、抗Mcl-1 shRNAによりSP細胞のapoptosis感受性は増強された。これらの検討結果より、胃癌細胞に対する治療抵抗性克服のための分子標的治療において、Mcl-1が重要な標的分子となると考えられた。
すべて 2007
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