研究課題
基盤研究(C)
心房細動の発生・維持には心房筋の線維化が深く関わっている。この線維化を抑制することにより心房細動を予防しうる。糖尿病治療薬でインシュリン抵抗性改善作用のあるPPARγアゴニスト(ピオグリタゾン)には抗炎症作用や抗酸化作用がある。しかしながらこの薬物の心房筋に対する作用は不明である。本研究の目的は、PPARγアゴニストが心房筋の線維化抑制作用を介して、心房細動を抑制しうるか否かを明らかにすることである。心室の4週間高頻度ペーシングにより心不全ウサギが作製され、著明な心房心室拡大と心房筋の線維化が認められた。このウサギに心房高頻度刺激を行うことにより容易に心房細動が誘発された。ペーシング開始とともにピオグリタゾンを4週間内服させると、心不全の進行は同様に認められたものの、心房細動の誘発性は低下し、心房筋の線維化も抑制されていた。またアンギオテンシンIIレセプター拮抗薬(カンデサルタン)をペーシング開始とともに内服させた場合にも、4週間後に心房細動誘発性・心房筋線維化の抑制が認められた。高頻度ペーシングにより両心房の不応期は延長し、伝導速度は低下していたが、ピオグリタゾンやカンデサルタンにより不応期は延長したままであったが、伝導速度は増加した。さらに心房組織TGF-β1、TNF-α、MAPキナーゼの発現は、ピオグリタゾンやカンデサルタンにより低下していた。このことより、PPARγアゴニストがアンギオテンシンII依存性経路を抑制することにより、抗炎症作用、抗酸化作用を発揮し、心房筋線維化を抑制するものと予想された。この研究により、心房細動の新しい治療薬として、PPARγアゴニストであるピオグリタゾンが、臨床的にも有用である可能性が示唆され、今後難治性不整脈である心房細動治療に新たな選択枝がもたらされたと考えられた。
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