研究概要 |
緑膿菌Twitching motility(以下TM)をtargetにしたsiRNAの治療応用について検討した。当教室で保有するTM欠損株と同じ遺伝子pilH,pilI,pilJ,pilKおよび線毛構成蛋白pilA遺伝子をtargetにしてsiRNAの設計を計画した。各緑膿菌遺伝子のシークエンスはhttp://www.pseudomonas.comより調べ、Web上の設計ソフト(http://design.rnai.jp)をもとにsiRNAをデザインした。各々のsiRNAをSIGMA Genosys siRNA Serviceに発注して合成した。TM抑制効果の実験:(1)液体培地にsiRNAを加えて緑膿菌PAO-1株に受動的に作用させた(37℃、4時間静置培養)実験ではpilK抑制siRNAのみ79±9%(対Control比)の抑制効果を得たのみでpilH,I,Jでは十分な効果を得られなかった。(2)pilK抑制siRNAを用い、能動的に菌体への取り込みを促すために、大腸菌電気穿孔法を応用した。緑膿菌濃縮液(10%グリセロール加、2×10^<10>細胞数/ml)液を作成して、ジーンパルサー(Bio-Rad社)にて同液40μlにsiRNA 10μlをくわえ、2.5kVにて通電した後、SOC培地にて1時間振盪培養を行った。Controlに比してsiRNA添加群ではtwitching抑制効果を得られていたが、抑制効果の発現率は60%前後ですべての菌体にsiRNAが取り込まれなかった。また電気穿孔法をin vivoで再現することは困難であり、緑膿菌は大腸菌より細胞壁が厚く、また細胞壁内蛋白が多く、複雑な菌体内環境の維持効果があると考えられていることからsiRNAを菌体内へ導入することは本期間内では難しく、今後他の方法を含めて再検討が必要である。
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