研究概要 |
1.気道平滑筋細胞の増殖反応:ヒト気道平滑筋培養細胞をufCB粒子の存在下で72時間培養を行い,[^3H]-thymidineと[^3H]-leucineの細胞内取り込みが用量依存的に増加した.またufCB粒子の曝露はリン酸化EGFR(活性型p-EGFR)の発現を誘導し,その効果および蛋白質・DNA合成はEGFRチロシンリン酸化阻害薬(AG1478とBIBX1382)による抑制を受けたが,血小板由来成長因子受容体(PDGFR)阻害薬は無効であった 2・気道平滑筋細胞ERK活性の測定:ERKの活性化は免疫組織化学とWestern blotにて評価を行い,またERKの直接的な評価として,平滑筋細胞の遠心上清中のERK活性をアッセイキットにより測定した.その結果,ufCB粒子による刺激はERKのリン酸化を誘導し, ERK活性の上昇をもたらした. 3.In vivoにおける吸入曝露:C57BL/6JマウスをFlow-throughチェンバー内で生理食塩水あるいはfCB粒子,ufCB粒子,およびQ粒子のいずれかを吸入させた.その後,結果,主気管支および葉気管支を経時的に摘出し免疫組織化学を施行したところ,ufCB粒子曝露群では抗Αsma抗体にて染色させる気道平滑筋細胞の増生が観察された. 4.気道過敏性:ufCB曝露群では気道過敏性の亢進が認められ,その効果はSODやEGFRチロシンリン酸化阻害薬により抑制された.したがって,上記の気道過敏性の誘導における酸化ストレスとEGFRの役割が示唆された.
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