研究課題
基盤研究(C)
障害を受けた糸球体上皮細胞が糖鎖変異型ポドカリキシン(以下gm型ポドカリキシン)を発現するようになると同細胞の陰性荷電が減弱し、ボウマン嚢上皮の癒着につながる可能性がある。癒着は不可逆性の腎機能障害進展のマーカーである。私たちは糸球体上皮由来培養細胞および腎臓病モデルラットを用いて糸球体上皮細胞障害時およびアンジオテンシンII(AII)刺激時におけるポドカリキシンの糖鎖の変化と同細胞障害時に特異的に発現する糖鎖付加酵素を検討することにした。ラット糸球体及び糸球体上皮由来培養細胞3株に対してRT-PCR法によりglycoprotein-N-acetylgalactosamine-3-β-galactosyltransferase(C1Ga1t1)とUDP-G1cNAc2-epimerase(GNE)といった新規の糖鎖付加酵素を検出した。新規バイオマテリアルであるハニカム膜を足場として上記3株を培養し、増殖期と分化期における特徴を、遺伝子発現と形態観察の両面から検討した。通常培養シャーレ上でポドカリキシン、ネフリンの遺伝子発現が、増殖期に比べ分化期でより強い傾向が見られたが、形態の変化は認められなかった。ハニカム膜(7mm孔径)上において、ポドカリキシン、CD2AP、ネフリン、Clgaltl、GNEの発現量が、通常培養シャーレ上に培養した場合に比較して高く、形態的には細かい突起が見られ重層化する傾向があった。AII、AII拮抗薬添加の有無によりポドカリキシンと免疫共沈するアダプター蛋白(エズリン、NHERF2)の量を検討したところ、AII依存的にこれらの複合体が解離することが明らかとなった。AII刺激により、Clgaltl、GNEの発現量は減少した。以上から新規バイオマテリアル上での培養やAII添加により糸球体上皮細胞において糖転移酵素の変化が生じ、ポドカリキシンの糖鎖が変異することで周囲細胞への癒着が起こることが示唆された。残念ながら病的状態での糸球体におけるポドカリキシンの糖鎖構造そのものの解析は行えなかった。
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