研究概要 |
我々はDuchenne型筋ジストロフィーの責任タンパク質であるdystrophinに結合する「α-dystrobrevin」をおとりタンパク質として、それに結合するタンパク質をヒト骨格筋cDNAライブラリーを用いてTwo-Hybrid法で検索した。その結果新規な中間径フィラメントを発見し、desmuslinと命名して報告した(Mizuno Y, PNAS, 2001;98:6156-6161)。その後、このタンパク質には二つのアイソフォーム(αとβ)が存在し、かつ以前報告されていたchickensyneminのヒト型であることが判明した。それに伴いdesmuslinはβ-syneminと改名された。αとβアイソフォームは同じ遺伝子より翻訳されるが、αタイプは312個のアミノ酸分βタイプより大きなタンパク質となっている。ヒト骨格筋にはβタイプのみを認め、免疫組織学的検索では筋細胞膜の他、神経筋接合部や筋腱接合部に多く存在していることを見出した。さらに共焦点解析ではcostamereに強いシグナルを認めた。また、ヒト脳においては両方のタイプが存在することを報告した(Mizuno Y, Muscle Nerve, 2004;30:337-346)。脳におけるsyneminの役割は不明だが、骨格筋と同様、ニューロンやグリアの形態維持に関連した役割を果たしているものと推測した。 平成18年度はαとβ-synemin遺伝子の脳における局在を検討した。マウス脳組織を用いたin situハイブリダイゼーションでは、両遺伝子とも橋から中脳かけての大きなニューロンに共存していた。平成19年度は、ミラー切片を用いたin situハイブリダイゼーションと免疫組織染色による検討から、遺伝子とタンパク質の共存を明らかにした。
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