研究概要 |
CollagenVI陽性Ullrich(UCMD)病の病因を明らかにするために他のコラーゲン分子(collagen XIII,XIV,XV,XVIII他)やcollagen VIとの関連が知られている他の分子(fibronectin,fibronectin receptor,hyaluronic acid,perlecan,biglycan,decorinおよびNG2 proteoglycanなど)の異常の有無を免疫組織化学、Western blottingおよびRT-PCRにて検索した。その結果NG2 proteoglycanの筋膜上の発現は低下していたが、線維性結合織において、collagen XV,XVIIIが過剰に発現していた。また、コラーゲン特異的分子シャペロンであるheat shock protein47(HSP47)の発現異常を検索したところ、他の筋ジストロフィーでは線維化結合織と周辺筋基底膜にHSP47の発現がみられたが、collagen VI遺伝子異常を有するUCMDおよびBethlem myopathy(BM)では筋基底膜の発現は少なく,結合織のみに発現していた。UCMDおよびBMにおける筋基底膜上のHSP47の発現低下は筋再生異常に関与する可能性がある。 これまでにUCMDの皮膚および線維芽細胞においてfibronectin受容体の発現が低下し、collagen VIの欠損が細胞接着にも影響することを証明した。thrombomodulin(TM)は、近年接着分子としても注目されており、今回ヒト可溶性リコンビナントTM(rTM)がUCMD患者線維芽細胞の接着能と増殖能を改善することを証明した。今後、UCMD患者の筋芽細胞に与えるrTMの影響を究明し、細胞接着異常をきたす他の筋疾患を含めて治療に応用できる可能性を追求したい。
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