研究課題/領域番号 |
18591007
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
代謝学
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
小谷 光 川崎医大, 医学部, 講師 (10388928)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,810千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 210千円)
2007年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2006年度: 2,900千円 (直接経費: 2,900千円)
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キーワード | PDK1 / 血管内皮細胞 / インスリン感受性 / 肥満抵抗性 / VEGF / NO |
研究概要 |
血管内皮は循環調節、血管新生などを通じて糖尿病・肥満・高血圧などに関与する.代謝調節、細胞増殖などにおいて重要な役割を果たすPI3K/PDK1/Akt経路は、血管内皮細胞においても血管形成をはじめ、血管内皮成長因子などのシグナル伝達やNO産生などに重要であることが培養細胞を用いた実験系で示されているが、生体内における役割は不明である.今回我々はTie2プロモーターによりCreリコンビナーゼを血管内皮細胞特異的に発現するトランスジェニックマウスとPDK1flox/floxマウスを交配して血管内皮細胞特異的PDK1欠損マウス(VEPDK1KO)を作成し、同腹のPDK1flox/floxマウスを対照群として糖代謝、肥満形成、血圧調節における血管内皮細胞PDK1の役割を検討した.VEPDK1KOの骨格筋、心臓、肝臓、脂肪組織のPDK1蛋白発現量は対照群と比較して変化は見られなかったが、肺から単離した血管内皮細胞のPDK1蛋白発現量は80-90%低下していた.VEPDK1KOはHE染色やPECAM-1の免疫染色では大動脈、各臓器の血管構造に形態学的な変化はみられず、出生率および成長・体重曲線は正常だった.12週齢の血圧はVEPDK1KOが122±9/72±7mmHg、対照群が122±2/72±2mmHg、血中NO濃度はVEPDK1KOが49.1±5.8μM、対照群が54.0±13.4μMと両群に有意差はなかった.24週齢の糖負荷試験では負荷前・負荷後30分の血糖値は対照群が83±3mg/dl、272±15mg/dlだったのに対し、VEPDK1KOが76±3mg/dl、218±22mg/dlと有意に低く、インスリン負荷試験では対照群の血糖値低下が10%だったのに対してVEPDK1KOは32%と有意に低下した.随時血清インスリン値は対照群が1.3±0.2ng/mlだったのに対し、VEPDK1KOは0.8±0.2ng/mlと有意に低値だった.高インスリン正常血糖クランプ実験でのグルコース注入量は対照群が178±11μmol/kg/minに比較してVEPDK1KOは243±23μmol/kg/minと有意に高く、インスリンによる肝糖放出抑制率は対照群の44±12%に比較して、VEPDK1KOは93±14%と有意に高かった.高脂肪食負荷実験では26週齢の体重は対照群が54.4±2.2kgだったのに対して、VEPDK1KOは48.1±1.1kgと体重増加は有意に抑制され、CT画像による対照群の総脂肪面積・内蔵脂肪面積は3.8±0.1cm^2、2.2±0.2cm^2に対してVEPDK1KOは3.2±0.1cm^2、1.8±0.1cm^2と有意に低く、インスリン負荷後の血糖値の低下は対照群が33%だったのに対してVEPDK1KOは49%と有意に高かった.以上より血管内皮細胞特異的なPDK1の欠損により血圧は正常だったが、インスリン感受性は亢進し、肥満形成は抑制された.
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