研究課題
基盤研究(C)
甲状腺ホルモン(TH)は神経系の発達に不可欠の役割を果たし、胎児期・新生児期・乳幼児期におけるTHの不足は非可逆的な神経系の発達不全を引き起こす。また成人においてもTHの過不足は脳・神経系の機能に影響を及ぼすことはよく知られており、甲状腺機能低下症患者においては、意欲の低下、物忘れなどのアルツハイマー様症状など、脳・神経活動の低下を示唆する症状が頻見される。しかし、これまでに脳・神経系で同定されているTH標的遺伝子は、発達段階ではTHの制御を受けるものの、成熟段階に入るとその制御が失われてしまうものが多い。本研究では、成獣の海馬において、THがさまざまな遺伝子の発現の制御を介して、細胞・神経系の機能制御を行っているという仮説のもと、若年成獣雄マウスを甲状腺機能低下状態あるいはTH過剰状態としたうえで、海馬よりtotal RNAを抽出し、cDNAサブトラクション法により、THの過不足により差異的に発現されるcDNAの断片をクローニング、その遺伝子を同定した。さらに段階的な量のTHを投与したマウスの海馬においてこの同定された遺伝子の発現レベルを定量的PCR法により測定した。その結果、ミトコンドリアの輸送に関与するキネシン、ミトコンドリアの脱共役タンパクや細胞内カルシウムを介した情報に関与する分子が、成獣においてもTHにより調節されることが明らかとなり、THが成熟個体においても神経系の機能に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。乳幼仔期においては、これら遺伝子のTHによる発現調節は成獣における調節と異なっていたことから、それぞれの遺伝子において、成獣と乳幼仔でTHへの応答性・発現調節機構が異なることが示唆された。
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