研究課題
基盤研究(C)
臍帯血移植(CBT)は多くの利点から増加しているが、生着不全と再発が問題である。これらの病態ではドナー細胞(D)とレシピエント細胞Rが混在する混合キメリズム(MC)になるので、MC解析はその診断に役立つ。ほとんどのCBTでDとRのHLAがミスマッチなので、我々は抗HLA抗体とフローサイトメーターを使用した新規MC解析法(HLA-Flow法)を開発した。平成18年度は、HLA-Flow法でCBT患者を解析した。症例は医科研でCBTを受けた白血病患者で、倫理委員会で承認された計画を説明して同意を得た。DとRにそれぞれ特異的な一組の抗HLA抗体に、lineage抗体や腫瘍マーカー抗体を組み合わせ、末梢血や骨髄の細胞を染色してFACS解析した。末梢血の生着動態解析の結果、5例中4例でRは漸減して消失した。1例でR(単球)が3週目以降再び増加したが、免疫抑制剤の減量で急速に消失した。再発の監視で骨髄細胞を解析した6例中、AML-M2症例でCD34^+CD45^<dim>分画中のRが281日目に5.7%まで増加し、再発が疑われた。同分画のDとRを分取して白血病マーカーAML1/ETOをFISH法で解析したところ、陽性細胞はそれぞれ0%と100%であった。平成19年度は、FACSで利用可能な抗HLA抗体の充実を図った。米国One Lambda社の未公開クローンから新規抗体を作製した結果、本法で解析可能なCBTの割合が45%から70%まで増加した。移植後の再発では、化学療法や再移植の決定に腫瘍細胞量の評価は不可欠であるが、しばしば困難である。我々は、HLA-Flow法とCD34-CD45プロット法を組み合わせ、容易かつ定量的な白血病細胞の評価法を確立した。HLA-Flow法は、迅速、定量的かつ高感度で、Rの詳細なマーカー解析や分取後の解析も容易で、生着不全と再発の病態解析に極めて有効である。
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