研究課題
基盤研究(C)
先に我々は、血小板凝集を惹起する蛇毒ロドサイチンの血小板上受容体が、CLEC-2という、既知の血小板凝集惹起受容体とは全く異なるCタイプレクチン様受容体の蛋白であることを発表した。今回、CLEC-2の生理的リガンドの検索とノックアウトマウスの作成を目的とした。1)CLEC-2欠損マウス:平成18年5月より新たにベクターを作成しなおして、ノックアウトマウスを作成したが、ES細胞の品質不良のため不備に終わった。その後新たなES細胞を使用して19年4月より作成しなおし、現在はF1へテロマウスが9匹得られている。2)生理的リガンド:ロドサイチンのアミノ酸配列と相同性を示す蛋白に、プロテオグリカンの一種、バーシカンがある。粗精製バーシカンとCLEC-2の結合はビアコアで確認されたが、バーシカンによる血小板活性化は認められず、純粋なバーシカンを得ることも困難なため、この検討は中断した。腫瘍細胞の表面に発現するポドプラニンは血小板凝集を惹起し、腫瘍の血行性転移促進するといわれているが、その血小板上受容体は不明であった。我々はポドプラニンとロドサイチンによる血小板凝集の類似性から、ポドプラニンの受容体がCLEC-2ではないかと考えた。ポドプラニン発現細胞に組換CLEC-2蛋白の結合フローサイトメーターで確認され、ポドプラニン惹起血小板凝集は組換CLEC-2蛋白で抑制されることから、この仮説が正しいことが証明された。これは非常に有用な発見といえ、Journal of Biological ChemistryのPapers of the Weekに選ばれ、プレスリリースされるなど、大きな反響があった。さらに我々は、抗ポドプラニン抗体がマウスの尾静脈より投与した腫瘍の肺転移を抑制することも見出し、ポドプラニンとCLEC-2の結合を抑制することで癌の血行性転移を抑制できる可能性を示した。現在JSTの支援を受けて、国際特許出願準備中である。
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http://www.med.yamanashi.ac.jp/clinical/clin01ab/cn3/pg17.html
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