研究課題
基盤研究(C)
私どもは、樹状細胞・T細胞と血小板膜蛋白GPIIb-IIIaの相互作用に着目し、特発性血小板減少性紫斑病患者からGPIIb認識T細胞株を樹立した。そのT細胞には、ヘルパー活性を有するCD4陽性T細胞と細胞傷害活性を有するCD8陽性T細胞が存在していた。特に、CD8陽性T細胞クローンを樹立できた特発性血小板減少性紫斑病患者では骨髄中の巨核球増加が乏しいという特徴があったことから、このような患者では細胞傷害性CD8陽性T細胞が血小板・巨核球を標的として破壊している可能性が考えられた。すなわち、特発性血小板減少性紫斑病の発症機序として、従来から予測されている抗体依存性の血小板破壊機序に加えて、細胞傷害性T細胞による血小板破壊機序が関与している症例が含まれており、特発性血小板減少性紫斑病の発症には自己免疫機序が関連しているものの、大きく異なる機序が症例ごとに関与しており、多様な自己免疫病態の関与が考えられた。また、私どもは、哺乳類細胞に種々の遺伝子組み換えGPIIb-IIIa蛋白を発現させてこの蛋白の構造と機能の相関について検討した。その結果、リガンド結合に重要なアミノ酸とGPIIb-IIIaの活性化を抑制しているアミノ酸配列をGPIIIa蛋白の細胞外ドメインの特定のループ構造内に同定した。さらに、GPIIIa蛋白の細胞内ドメインにある2つのアミノ酸がGPIIb-IIIaの活性化を抑制していることを見出し、その抑制がインテグリン活性化細胞内蛋白であるTalinの作用を協調的に制御していることを明らかにした。
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