研究課題
基盤研究(C)
我々はmiR125b-1が免疫グロブリン重鎖(IGH)遺伝子と染色体異常によって結合している急性リンパ性白血病症例を2例見出した。これら2例は若年発症(24歳と26歳)で細胞表面抗原の表出パターンがほぼ同一であった。このことは、IGHとの結合によって生じたmiR125b-1の構成的発現がある特定の急性リンパ性白血病の臨床病態を規定している可能性を示している。現在までに、小児例を含む合計15例の急性リンパ性白血病患者でmiR125b1のゲノム異常を検討したが、miR125b-1のゲノム異常をとらえることはできなかった。一方、miR125b-1の構成的発現が細胞に与える影響を検討するために、CMVプロモーター下にmiR125b-1を結合させた組み換えDNAを作成し、NIH3T3細胞やマウスB cell precursor由来のBa/F3細胞株にtransfectionしたところ、細胞寿命の変化を認めている。現在、細胞寿命変化のメカニズムを遺伝子発現で検討中である。また、我々はC-MYC遺伝子・サイクリンD3遺伝子・miR142遺伝子が三者ともに過剰発現している悪性リンパ腫を見出した。上記と同様にmiR142発現プラスミドを構築して遺伝子導入実験を行ったが、形質変化を認めることはできなかった。この事実はmiR142遺伝子単独の異常は細胞増殖や細胞死に影響しないということを示唆している。現在、C-MYC遺伝子やCyclin D3遺伝子とco-transfectionの系を立ち上げ、癌の多段階発生を模した実験系での検討をすすめている。
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