研究課題
基盤研究(C)
免疫抑制効果、抗炎症効果をもつ薬剤として海外で認可され、日本にも輸入されるようになっているサリドマイドは、妊婦が妊娠初期の臨界時期に1回でも内服すると著明なアザラシ肢を典型とする種々の形態異常を胎児に引き起こすことで有名であるが、その機序の詳細については不明である。我々はこのサリドマイドの催奇形性の分子メカニズムを調べるために本研究を行った。まず、培養細胞に対するサリドマイドの影響を、関連遺伝子において解析した。その際、サリドマイド症候群と類似のアザラシ肢を示すRoberts症候群の皮膚繊維芽細胞を用い、正常細胞との違いを調べた。サリドマイドの添加の有無により発現レベルの変化する遺伝子を、肢芽形成に関与する遺伝子の定量的PCRにて評価したが、明瞭な変化の認められる遺伝子は認めなかった。現在cDNAアレイを用いた評価法を検討している。またサリドマイド類似症状を来すRoberts症候群はESCO2遺伝子異常によって発症するが、その機序についても不明な点が多く、我々はRoberts症候群の患者細胞を用いてその細胞学的な特徴を解析した。患者リンパ芽球においてその分裂能異常があること、またマイトマイシンCに対する感受性が強いことなどが判明し、ESCO2蛋白のアセチル化酵素活性が低下していることなどを確認することができた。これらの知見から、ESCO2遺伝子の肢芽形成における役割や、サリドマイドの催奇形性に関する情報となり、今後本薬剤の副作用予防に対する知見となる可能性が出てくると考えられる。
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