研究課題
基盤研究(C)
川崎病の病態究明の方法として、Bリンパ球におけるトールライクレセプターファミリーであるCD180の発現を観察し、川崎病とトールライクレセプターの関連性を検討した。川崎病急性期、細菌感染症、ウイルス感染症、健常コントロールにおける末梢血Bリンパ球におけるCD180の発現では、細菌感染症、健常コントロールに比し、川崎病急性期、ウイルス感染症群では有意に上昇していた。(p<0.05)また、mean fluorescent intensty(MFI)ratioも川崎病(1.366±0.443)、ウイルス感染(1.391±0.307)群は細菌感染(0.841±0.315)に比し有意に高値であった。(川崎病p=0.0072、ウイルスp=0.0191)二本鎖RNA poly(IC)およびINFγ刺激によるCD180誘導の検討では、INFγの有無に関係なく、poly(IC)の刺激にてCD180の発現が誘導される。またCD180のmRNAの発現も同様に増強されていた。CD180の発現と冠動脈病変の検討では、冠動脈危険因子といわれる、好中球増多、ヘモグロビン低値、低アルブミン、肝酵素上昇、CRP高値との関連を12名の川崎病症例で検討したが、明らかな関連性は認められなかった。しかし、冠動脈病変発生の2例ではCD180の発現は著高していた。以上、急性期川崎病の末梢血Bリンパ球におけるCD180の発現パターンの結果からは、川崎病の発症には細菌感染というよりはウイルス感染に近い病態が関連している可能性が高いと考えられる。
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J Mol Med 84
ページ: 168-174