研究課題
基盤研究(C)
転写因子Hand1、Hand2は各々胎生期の左心室、右心室に優位に発現し、その発達に関与する。また両者は原始咽頭弓に共通して発現し、心室流出路の発達にも寄与する。これらHand遺伝子の遺伝的相補性を検討する目的で、遺伝子組み換え技術を用いて、Hand2^<Hand1/+>マウス(Hand2をHand1遺伝子で置換したヘテロ接合マウス)を作成し、それらを交配したHand2^<Hand1/Hand1>マウス(ホモ接合マウス)の表現型解析を行った。Hand2^<Hand1/Hand1>マウス胎仔は、胎生13.5日以後成長が停止し、胎生15.5日頃に胎内死亡した。左右心室構造が明らかになる胎生9.5日以降、様々な程度の右心室の低形成及び右心室肉柱層の発達障害が認められ、胎生後期に心不全で死亡したものと考えられた。Hand遺伝子のメッセンジャーRNA(mRNA)レベルの発現をin situ hybridizatio法(ISH)で検討し、Hand2の右心室発現欠如、Hand1の右心室への発現拡大が認められたことから、Hand遺伝子間の置換が行われていることが示された。また、Hand2^<Hand1/+>マウスとHand2^<+/->マウスの交配により作製されたHand2^<Hand1/->マウスは、すでに報告されているHand2^<-/->マウス(Hand2ノックアウトマウス)と同様、胎生10.5日に著明な右心室低形成で胎内死亡した。ホモ接合マウス胎仔の咽頭弓構造は、野生型胎仔と比較して肉眼的、組織学的に明らかな変化は認められなかった。ISHを行った結果、咽頭弓におけるHand2発現消失、Hand1の拡大した発現が認められ、咽頭弓組織においてもHand遺伝子の置換が確認された。以上の所見から、Hand遺伝子は組織特異的かつ量依存的な遺伝的相補性を有することが示唆された。
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Medical View
ページ: 469-471
International Research and Educational Institute for Integrated Medical Sciences (IREIIMS), p.29-31, Tokyo Women's Medical University
ページ: 29-31
ページ: 100-105