研究課題
基盤研究(C)
11q23転座を有する白血病細胞株を用いてFLT3リガンド(FL)刺激による細胞回転停止のメカニズムと抗白血病剤に対する抵抗性獲得の検討を行った。(1)培養系にFLを添加するシステムを用いた検討:11q23転座型ALL細胞株KOCL-58に各種濃度のFLを添加して3日間培養すると、GO/G1arrestが誘導され、その機序として、CDK inhibitorであるp27の発現増強、STAT5の脱リン酸化が考えられた。daunorubicin(DNR)あるいはcytosine arabinoside(AraC)を加えて、FL添加あるいは無添加で3日間培養すると、FL存在下で有意に生細胞数とviabilityが増加した。(2)骨髄ストローマ細胞株との共培養システムを用いた検討:11q23転座型ALL細胞株KOCL-58を膜結合型FLを高発現している骨髄ストローマ細胞株と共に3日間培養すると、GO/G1arrestが誘導され、抗FL抗体の存在下で部分的に解除された。また、DNRあるいはAraCを加えて3日間培義したところ、骨髄ストローマ細胞株との共培養で有意に生細胞数とviabilityが増加し、抗FL抗体の存在化でその効果が部分的に解除された。これらの結果から、生体内において、膜型あるいは分泌型FLを産生している骨髄ストローマに接着したllq23転座型ALL細胞は、細胞回転停止状態に誘導され、抗白血病剤に対する感受性が減弱するために微小残存病変を形成し、臨床的に早期再発に結びつく可能性が示唆される。
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