研究課題
基盤研究(C)
本研究では、正常な胎盤形成に必須である絨毛外トロフォブラスト(EVT)の血管内皮(EC)様分化にかかわる遺伝子を明らかにすることを目的とし、ヒトEVT不死化細胞株TCL1,ヒト臍帯血管内皮細胞におけるmatrigel上での微小血管形成(tube formation:TF)過程の遺伝子変化をmicroarray法で検討し、TCL1細胞で特異的に発現画像化する遺伝子として抽出されたHIF1A遺伝子についてそのEVT分化における役割について検討を行った。TCL1細胞のTF能に与えるsiRNAならびに阻害剤を用いたHIFIAの阻害効果、ルシフェラーゼ活性測定によるHIF1Aの転写活性、間接蛍光抗体法ならびに免疫プロット法による、HIF1Aの下流に存在し、我々が先行研究において、TCL1細胞のEC様分化において重要な役割を有するVEGF、ITGAV遺伝子のmatrigel上での発現に対するHIF1A阻害の効果を検討した。その結果Hypoxia Response Elementを挿入したルシフェラーゼ発現ベクターを導入したTCL1細胞の活性はmatrigel上で増幅されたが、この活性はTF能を抑制する条件のsiRNAもしくはAntimycin A添加により抑制されうること、matrigel上でTCL1細胞が示すVEGF発現ならびにITGAV/B3遺伝子の発現と機能的活性化はTF能を抑制する条件のsiRNA、Antimycin A添加で抑制されること、が明らかとなった。これらの結果からTCL1細胞ではマトリゲル上で20%酸素濃度下HIFIAが誘導されること、その転写活性がEVT分化マーカーのVEGFやITGAV誘導ならびにTF能にも関与すること、が示された。すなわち本研究により、EVTのEC様分化では、非低酸素環境においてもHIFIAが重要な役割を有することが明らかとなった。
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産科と婦人科 74
ページ: 775-781
臨床検査 51
ページ: 1686-1690
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