研究概要 |
平成18年度は,好酸球浸潤を起こす光線過敏型薬疹のモデルを作製することができた。薬剤としてはアフロクァロン(AQ)を用い、これを全身投与し紫外線A(UVA)照射する処理を繰り返すことによりマウスを感作し、惹起は薬剤溶液の皮下投与と同部へのUVA照射をする方法をとった。この方法により,好酸球が密に浸潤する光線過敏型薬疹の誘導に成功した.腹部剃毛した7週齢AKR/JマウスにAQを腹腔内投与し2時間後にUVAを腹部に照射した。10回感作後より真皮及び皮下組織に顕著なリンパ球・好酸球浸潤がみられた。感作の成立には薬剤とUVA両方が必要であり、抗原特異的であった。感作したマウスのリンパ節及び脾細胞を採取し、全細胞あるいはCD4陽性細胞を未処置マウスに移入し、惹起を行ったところ、同様な好酸球を伴う浸潤が認められた。感作リンパ節細胞はIL-4とIL-5を多く産生していたため,Th2細胞がこの反応に関わっていることが示唆された. 平成19年度は,惹起した皮膚を用いてreal-time PCRにてケモカイン発現を,好酸球ケモカインであるCCL24とCCL5,Th1ケモカインであるCXCL10とCXCL9,Th2ケモカインであるCCL17とCCL22について検討した.CCL24の表出が充進していたが,CCL5は変化がなく,Th1およびTh2ケモカイン発現も変わりなかった.これらの結果は,AQとUVAは抗原特異的なTh2優位の光アレルギー反応を誘導し,惹起に際して真皮線維芽細胞がCCL24を産生して好酸球浸潤をもたらすことを示唆した.
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