研究課題
基盤研究(C)
抗うつ薬の神経幹細胞から神経細胞への分化促進作用のメカニズムを詳細に解析し、内在性神経幹細胞活性化による治療へと結びつけるための検討を行った。神経細胞の生存に影響しない低濃度のタブシガルギンを用いた小胞体ストレス曝露によって神経幹細胞から神経細胞への分化は有意に抑制されたが、この神経幹細胞分化抑制は抗うつ薬の併用処置により濃度依存性に軽減された。MAP kinaseカスケード上の分子ERKの活性化型分子p-ERKの神経幹細胞における発現はタブシガルギンを用いた小胞体ストレス曝露により著明に減弱した。MEK阻害剤UO126の処置により神経細胞への分化は抑制され、転写因子NRSFのDNA結合活性の増強を認めた。タブシガルギン処置時にはNRSF蛋白質量の増加が認められ、小胞体ストレスによる神経幹細胞の神経分化抑制作用にERKシグナルの減弱を介した転写因子NRSFの関与が示唆された。次にモデル動物への標識神経幹細胞の移植によりin vivoでの神経幹細胞動態解析を試み、脳内での分布を確認した。また、神経幹細胞への抗うつ薬処置による分化後の神経細胞フェノタイプの割合は処置した抗うつ薬によって異なることを確認し、抗うっ薬の臨床効果の違いがフェノタイプ発現の差異に基づく可能性があることが示唆された。さらに抗うつ薬長期投与により脳内で発現が変化する遺伝子ADRGのcDNA microarrayを用いて神経幹細胞の分化・成熟に選択的に関与する遺伝子をスクリーニングし、分化誘導後に大きく発現変化する遺伝子#ADRG116の発現分布を検討し、海馬歯状回の内側に局在することを確認した。これらの機序の解明により、内在性神経幹細胞活性化のための新規治療薬開発や既存の抗うつ薬などの治療薬を応用して神経新生を促進する際の重要な視点が明らかとなった。
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