研究概要 |
悪性腫瘍に対する術前の化学(+放射線)療法の効果判定目的に、18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)と18F-FLT(フルオロチミジン)を用いたPET検査を行い、いずれの所見が治療効果を正確に反映しているかを評価した。対象は全13例であり、最終診断により悪性病変の残存32病変、悪性が証明されなかった6病変が確定した。FDG-PETの感度、特異度、陽性適中率、陰性適中率、正診率は50%,33%,80%,11%,47%、FLT-PETは38%,67%,86%,17%,42%であった。所見の不一致は10病変(26%)に見られ、これらの病変に対しFDG-PETは6例(真陽性4例、真陰性2例)、FLT-PETは4例(真陽性2例、真陰性2例)に正診し、どちらが正しいとは言えなかった。また鑑別診断、病期・再発診断目的で同時期に両検査を施行した13人、29病変の検討では、FDG-PETの感度、特異度、陽性適中率、陰性適中率、正診率は62%,33%,89%,9%,59%、FLT-PETは50%,100%,100%,19%,50%であった。所見の不一致は9病変(31%)におこり、FDG-PETで5病変(真陽性5例、真陰性0例)、FLT-PETで4病変(真陽性2例、真陰性2例)に対し正診した。これらの結果に基づき、(1)FDG-PETは偽陽性を呈する一方で、FLTは偽陰性となりやすい、(2)所見の乖離が見られた場合にはそれぞれが約半数に対して正診しており、どちらを優先すべきというものではない、(3)FLT-PETの陽性適中率は比較的高く、FLT-PETが陽性なら悪性(残存)病変の可能性が高い、といえる。FLT-PETは良悪性の鑑別、病期・再発診断としては、その感度の低さから信頼性に劣るが、FDGの集積が低い腫瘍では転移巣の検索に使用できる可能性も示唆された。
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