研究概要 |
本研究では、悪性神経膠腫の放射線治療効果予測における低酸素状態に関連する遺伝子群の意義について明らかにし、レスポンダー選択のための分子遺伝学的指標を確立することを目的としている。 H18年度、H19年度ともに琉球大学の治療プロトコル(当大学の倫理審査委員会で承認済み)に従って一定の治療を施行する症例においてプロスペクテイブに検体採取を継続している。具体的には、手術時に分子遺伝学的検討のための検体採取を行っており、採取した検体は即座に液体窒素により凍結保存しており(インフォームドコンセントの得られたGrade IIIグリオーマまたは神経膠芽腫症例について現時点では27症例)その後の治療は、術後放射線治療60 Gy/30回(高圧酸素療法直後)、化学療法(Procarbazine, ACNU, Vincristineからtemozolomideへ変更)を施行している。治療効果はMRI,臨床症状にて判定している。 さらには、上記研究と並行して腫瘍細胞及び間質の放射線感受性における放射線治療効果に対する影響についても検討をおこなった。この検討により、腫瘍細胞及び間質の放射線感受性は双方とも放射線治療効果に影響を及ぼし、それぞれの放射線治療効果への寄与の度合いは1回照射、分割照射ともに変わらないことを明らかにした。 今後は、低酸素状態に関連する遺伝子群は放射線治療感受性と関連している遺伝子群、特にHIF-1α, CA9, DEC-1, GLUT-1, VEGF, NF-κB, bFGF等についてreal-time PCRと免疫染色を行って個々の遺伝子における発現状況を検討する予定である。
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