研究課題/領域番号 |
18591395
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 要子 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (60065597)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,860千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 360千円)
2007年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2006年度: 2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
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キーワード | マイルド加温療法 / HSP70 / 癌治療 / 化学療法 / 併用療法 / 膀胱癌 / 白血病 / 副作用 / 進行性尿路上皮癌 / 膀胱癌細胞T-24 |
研究概要 |
我々は、熱ストレス(身体を温める)で誘導されるHeat Shock Protein(HSP70)の生体防御作用を検討し報告してきた。本研究では、予めマイルド全身加温して誘導されたHSP70を利用し、化学療法というストレスに対して、患者への副作用の軽減効果で検討した。また、マイルド加温療法による抗腫瘍効果の増強作用の基礎的検討として、ヒト白血病細胞NALM-6,TBS-2細胞およびヒト膀胱癌細胞のT24細胞を用いて、各種抗癌剤とマイルド加温との併用による抗腫瘍効果の増強結果から、マイルド加温併用の有効性を実証した。 基礎研究1)ヒト白血病細胞NALM-6,TBS-2およびヒト膀胱癌細胞T24の3種ヒト腫瘍細胞は41℃加温で生存、43℃以上の加温で死滅した。2)3種細胞で各種抗癌剤とマイルド加温を併用した結果、特にシスプラチン、アドリシンで、抗腫瘍効果の増強効果が著明であった。また、放射線に対しても増強効果を示した。 これら基礎研究より、臨床においてシスプラチン、アドリアシンを含むM-VAC化学療法がマイルド加温併用により、癌患者に対し有効である実験的検証を得られた。 臨床研究として、1)倫理委員会で承認された泌尿器系M-VAC化学療法とマイルド全身加温療法の併用療法を先進医療に申請すべく実施した。2)マイルド全身加温は、遠赤外線加温装置で約30分加温し(舌下温1-2℃上昇)その後約20分保温した(この時、腫瘍局所加温も実施)。マイルド加温は化学療法2日前、化学療法当日、その後2-3回/週で実施した。3)M-VAC化学療法単独群では8例中、PR:1例、NC:1例、PD:5例に対し、マイルド加温併用群では12例中、PRが6例、NC:6例で、増大(PD)は無かった。嘔吐・吐き気の消化器副作用も軽減された。4)特に、マイルド加温併用によりa)癌性腹膜炎、骨転移・多発性リンパ節転移のある膀胱癌重症症例で骨転移の消失、癌性腹膜炎の消失、リンパ節転移の消失。b)膀胱癌で周囲組織への浸潤、多発性リンパ節転移のため手術不能の症例が手術可能となり摘出膀胱は肉眼的には腫瘍なし。c)腎盂、副腎への転移、多発性リンパ節転移の膀胱癌症例が腎機能の改善、転移・膀胱癌の縮小により、腎・膀胱の摘出手術が容易になった等、重症症例においてもマイルド加温併用が有効であった。 【結論】化学療法へのマイルド加温療法の併用は、基礎・臨床の両研究で有意な抗腫瘍効果と副作用の軽減が確証された。よって、有害事象が無く、安全で、低コストで、容易にどこでも実施可能であるマイルド加温療法は、臨床的により広範な化学療法との併用が期待される。
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