研究課題/領域番号 |
18591421
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
鄭 允文 横浜市立大学, 医学研究科, 助教 (80404995)
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研究分担者 |
谷口 英樹 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (70292555)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 300千円)
2007年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2006年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
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キーワード | 再生医学 / 肝幹細胞 / 自己複製能 / フローサイトメトリー / 癌化過程 |
研究概要 |
本研究では,FACS(fluorescence activated cell sorter)を駆使して、ヒト肝臓組織中に存在する肝幹細胞を分離・同定し、その分化・増殖・自己複製機構の解明を行う。さらに、ヒト組織幹細胞の過剰な自己複製能と発癌メカニズムの解明を試みる。まず、FACSを実施し、ヒト胎児肝細胞をスクリーニングした。その結果、選択した細胞画分にのみ、コロニー形成能を有する細胞が高頻度に存在することを見出した。次に免疫染色によって、その細画分は、肝臓を構成する複数の細胞系列への多分化能を有していることが示唆された。さらにこの細胞は、肝前駆細胞あるいは癌幹細胞で発現している分子マーカーも強く発現していることが半定量RT-PCRで確認された。以上の結果より、ヒト胎児肝臓中の特定の細胞画分には、高い増殖能と多分化能を兼ね備えた肝幹細胞が限定的かつ高頻度に存在することが明らかとなった。続いて、自己複製能に関連するBMI1遺伝子を細胞に導入して、BMI1過剰発現肝幹細胞由来のクローン性コロニーの細胞数をMOCK及び野生型のそれと比較すると、約2倍の増加が見られ、野生型との間にクローン性コロニー存在頻度の変化は確認されなかった。このことから、肝幹細胞へのBMI1遺伝子の導入は肝幹細胞の増殖能を充進するものの、肝幹細胞の頻度には影響を与えないということが明らかとなった。癌の形成を生体内において再現することが癌形成能を評価する上で、最も重要である。BMI1を導入した肝幹細胞をNOD/SCIDマウスへ移植すると、生体内において過剰な自己複製能を有した幹細胞を起点とする癌化過程の再構築が確認された。また、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現プロファイル解析を実施し、正常肝幹細胞に発現している分子群のリストアップを行ったところ、純化した肝幹細胞においてwntシグナル経路などの腫瘍組織と共通したシグナノ経路が見出された。以上の成果より、ヒト肝幹細胞分離技術の確立したことを加え、ヒト幹細胞の異常な自己複製能と腫瘍形成の関与が示唆された。今後、より詳細な肝発癌メカニズム解明の展開が期待出来る。
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