研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、個人差の小さい一定の抗原提示能を有する治療用の樹状細胞を調整する方法の開発であり、特徴はその手段として健常人由来の樹状細胞の分泌するexosomeを利用する点である。得られた研究成果は以下の通りである。1)DC由来exosomeの質的・量的評価法の開発:健常人DC由来exosomeを遠心操作、ショ糖密度勾配およびビーズ法を組み合わせることにより、純化したexosomeの回収および質的・量的評価法を開発した。その結果、健常人exosome上には非常に高密度かつ高い均一性をもって抗原提示に関連したMHC class II分子、CD80分子、CD86分子、ICAM-1分子が発現していることが確認された。進行癌患者由来DC由来exosome抗原提示関連分子の発現強度と発現頻度の低下が認められ、ワクチン療法のDC由来exosomeの質的・量的評価にはMHCclassII分子発現状況がマーカー候補分子である可能性を得た。2)Exosomeの単球のDC分化およびDC機能に及ぼす効果の解析:2-1:健常人DC由来exosomeによるCD4陽性T細胞の寿命延長2-2:健常人DC由来exosomeによる癌患者単球のDCへの分化誘導作用2-3:健常人DC由来exosomeによるNK細胞活性の増強2-4:癌細胞刺激DC由来exosomeによる細胞傷害性T細胞(CTL)誘導2-5:癌性腹水中exosomeによる制御性T細胞の細胞寿命延長作用3)その他:アデノウイルスベクターによるDCへのCEA遺伝子導入によりDC由来exosome上へのCEA発現誘導の可能性を示唆するデータを得た。
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Cancer Chemother Pharmacol 58
ページ: 577-584
Anticancer Research (in press)