研究課題
基盤研究(C)
乳癌抑制遺伝子産物であるBRCA1を蛋白質レベルで制御する因子の解析は乳癌抑制のメカニズムを知る上できわめて重要である。以下、当初の目的とその結果を述べる。目的:(1)BRCA1によってユビキチン化される基質およびBRCA1を制御する上流の因子のスクリーニング。(2)HERC2によるBRCA1制御機構の解析。(3)HERC2トランスジェニック(TG)マウスの表現型の解析。結果:(1)内因性のBRCA1複合体を大量に免疫沈降することを目的とし、抗BRCA1ウサギ抗体を作成した。しかし、スクリーニングによる新たな因子の同定には至らなかった。(2)抗HERC2抗体による免疫沈降とウェスタンブロットによって内因性のHERC2はBRCA1と結合した。HERC2全長をクローニングし、フラグメント解析した結果、C末端の3559-4834アミノ酸(HERC2-CT)がBRCA1に結合した。一方、BRCA1のフラグメント解析をした結果、HERC2はBRCA1の分解を誘導するdegronと呼ばれるドメインの一部65-167に結合することが判明した。HERC2とBRCA1の結合は細胞周期依存的で、S期にBRCA1の発現が低下している時にHERC2が結合した。また、HERC2の2292-2923は核内に局在し、それ以外のフラグメントは細胞質に局在すること、内因性のHERC2は主に細胞質に局在するが、Crm1阻害剤であるレプトマイシンBによって核内に移動することから、細胞質、核内を移動するシャトルタンパク質であることがわかった。以上よりHERC2はS期にBRCA1を細胞質に移送して分解するユビキチンリガーゼである可能性が示唆された。(3)MMTV誘導化にHERC2 C末端を発現するTGマウス、13クローンを得て、このうち乳腺でのmRNA発現をするものを選抜し、観察したが、有意な表現型を示すマウスは得られなかった。
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