研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、「大腸がんにおいてはWntシグナルとHedgehog(Hh)シグナルが互いに抑制関係にある」という作業仮説をもとに、形態形成シグナル系のクロストークを標的とした新たな大腸がん治療法を開発することである。本研究期間中に次のような成果を得た。1)大腸がん組織におけるWntシグナルおよびHhシグナルの活性化の評価:40例の手術時摘出大腸がん組織において、Wntシグナル活性化(b-cateninの核内移行率)とHhシグナル活性化(Gliの染色性)の逆相関(P=0.014)を確認した。2)大腸がん細胞株によるWntシグナルとHhシグナルのクロストークの検討:Wntシグナルの活性化大腸がん細胞にGli1遺伝子を導入し、Wntシグナルの抑制をレポーターアッセイ、westernblotおよび免疫蛍光染色にて確認した。3)WntシグナルとHhシグナルのクロストーク機序の解析:Wnt,b-cateninなどの遺伝子を導入し、Wnt系をさらに活性化する系で、Gli1遺伝子導入がこれら強制的に活性化したWnt活性を抑制すること、特に、Gli1遺伝子導入により、変異b-catenin強制発現系においてもWntシグナル系を抑制しうるという興味深いデータを得た。4)Wntシグナル活性化大腸がん細胞に対するHhシグナル活性化療法の開発:Wntシグナル活性化大腸がん細胞へのGli1遺伝子導入による細胞増殖抑制をcolony formation法および三次元培養系にて確認した。5)胃癌にいおてもWntシグナルとHhシグナルのクロストークが確認された。これら、成果は論文にて発表した。
すべて 2008 2007 2006 その他
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (2件)
Cancer Lett (in press)
Gastroenterology 134
ページ: 131-144
Cancer Lett (In press)
Gastroenterology 134-144
GUT 55
ページ: 991-999